相続税申告
相続税を申告・納付する人は誰か
1 相続税を申告・納税する義務者
相続税を申告・納税をする義務がある人は、①遺産総額が基礎控除を超えている場合に、②遺産を相続した人です。
①のとおり、遺産総額が基礎控除を超えていない場合には、申告・納税をする義務がありませんので、以下では、遺産総額が基礎控除を超えていることを前提に、②遺産を相続した人 について説明していきます。
2 相続人
相続人は当然ですが、遺産を相続した人に該当します。
ただし、相続放棄をして遡って相続人ではなくなったり、遺産をまったく取得しない内容の遺産分割協議書に署名捺印をするなど、遺産を取得しなければ、遺産を相続した人には該当しません。
遺産をどのような方法で取得したかは問いませんので、遺産分割で取得した場合でも、遺言で取得した場合でも、遺留分侵害額請求で取得した場合でも、遺産を相続した人に該当します。
3 受遺者や生命保険の受取人
相続人以外であっても、遺言書や死因贈与により、財産を取得した受遺者も、遺産を相続した人に該当します。
また、生命保険の死亡保険金を受領した人も、遺産を相続した人に該当をします。
4 申告義務がある人が、申告前に死亡した場合の、申告義務者の相続人
相続税の申告義務は相続人に引き継がれますので、申告義務がある方が、申告をする前に亡くなってしまった場合には、その方の代わりに申告する必要があります。
その場合には、納税義務の承継に関する書類を税務署に提出する必要があります。
5 注意すべきケース
たとえば、被相続人が亡くなる前に暦年贈与を受けていた相続人以外の方は、生前贈与を受けていたにすぎませんので、基本的には相続税の納税義務者にはなりません。
これは、亡くなる前7年間以内にされたもので、申告義務者に対する生前贈与である場合には相続税の加算となる対象の期間であっても変わることは無く、申告する必要はありません。
しかしながら、その方が、生命保険の受取人指定をされていた場合には、上述したように申告義務者になりますから、亡くなる前7年間の贈与についても、申告、納税義務が発生することになります。